王と麒麟、それは私自身のことだった。十二国記『白銀の墟 玄の月』を読んで気づいた。
久しぶりにファンタジーを読んでみた。
小野不由美女史の12国記の最新シリーズである。といっても7年前に発売されたシリーズである。結構時間がたっていたのね。
やはり面白い。読みだすと引き込まれる。あっという間の4巻だった。
なお、ネタバレはしないのでご安心を。
個人的には12国記シリーズでは一番お勧めの内容だった。
この世界観を、よく思いついたと思う。
私がこの12国記で面白いなと思うのは、その世界観である。よく思いついたといつも感心する。
王と麒麟。そして天。
麒麟は天の使いで王を選ぶという。民を重んじる民をいつくしむ神獣。麒麟が選んだ王が絶対的な存在となる。
天とは?日本神道の神と似ていると思う。
姿のない存在。でも在る。間違いなくこの物語の世界では存在する。
麒麟はその意をくんで王を見つけて選んでいく。麒麟にとって王は絶対的であり、「この人だ」とわかる。王気を感じると表現されている。これは多分、結婚相手とか親友にあったときにピンとくるあの感覚に似てるんだと思う。
私も過去、この人とは縁があると感じた人は数人いる。あれの強烈バージョンなんだろう、直感のめっちゃ鋭いやつってかんじだろう。
「私が王だ!」と思うのだ。
麒麟が選んだ王がいなくなると天命が行われず国が荒れ放題になる。そして妖魔が湧いてくるという。魔物である。人間を殺す存在。民は飢え妖魔に襲われ貧困と病気で死んでいく。逆に王が天命に沿い良い政治を行えば、国が潤うという。
王は民にとって何より大事な存在。そして麒麟は王を導き守護し民を守る。
この現実世界においては、私たち一人ひとりが王だと私は感じている。私自身が自分の体の60兆を超える細胞の上に立つ王。私がしっかりと規則正しい生活をし、栄養価の高い食事をする。すると細胞たちは潤いしっかり仕事をしてくれ私の国(身体)はより健康になり繫栄する。
そして心にとっても私が王である。心の中で「私」と認識しいる私という存在のことだ。私がやる気と前向き、上機嫌であることが心にとっては繁栄を意味する。
麒麟は民を大事にする生き物だ。慈悲の生き物。私の細胞60兆が民とするならばそれを慈しめと意見するのが麒麟。
麒麟は私自身を大事にしろ、私自身を輝かせろというもう一つの私だ。良心といえるかもしれない。
王と麒麟、それが私という国の中にある。私は一人二役を負っていることになる。
私って自分の体と心に対して、王と麒麟のごとく大事で絶対的な存在だと思うのである。
「私も、王だったよ」
12国記の世界観を何冊も読んでいて、私はいつしかそう感じるようになった。
多分それは「私も陽子やエン王みたいに強く立派な王になりたい」と物語を読んで思っていたんだと思う。そしてある時、気が付いた。
「あ、そうか、そもそも私も王だったよ。」という感じだ。
私の体の細胞が、私のすべての臓器が「私」を守るため、生かすために協力してはハーモニーを奏でている。この事実はまさに物語の中で言う「王」だ。
王は民に責任を負う。私は私の存在に責任を負う。やっぱり同じだ。私は憧れの存在そのものだった。
これは発見だった。
途中で本を閉じるなんて、ありえない。
今回の物語が頭一つ抜けて面白かったと思う。なんでだろう。考えてみた。
そもそも私はタイ国が一番好きというのが基本にある。ギョウソウも好きだしタイキも良い。
そして前回のタイキが王を選ぶシリーズより、今回のほうが国の動乱を収めるという点でドラマチックだ。より国記そのものといっていい。登場人物も多い。
終盤になるにつれ、展開が加速度を増す。
途中で本を閉じるなんてありえない。最後まで読まないと徹夜だ!
そんなワクワクの物語が待っている。
途中、嗚咽しそうになる場面もあった。戦いのシーンも多い。
私より先に読破した人は「暗い」と言っていたけれど、私はそうでもないと思う。
タイの国が極寒の国で、寒い空の下の過酷な情景描写が多いからそう感じたのかもしれない。民をはじめ軍人の苦労もしっかり描かれている。
物語は単純だけれど、心情描写が小野さんらしくうまい。人間の葛藤をよく文章に落とし込めている。
これがあるから引きこまれるんだろう。
読後は放心状態。
あまりに怒涛の展開で読み終えた後は、放心状態になった。
楽しみが一つ終わったというさみしさが数時間後にやってきた。
毎日の生活から、異世界へ旅立てるのは読書の醍醐味だ。
ファンタジー好きの人、現実世界に疲れた人、まったく違う世界を旅したい人
どの人にもお勧めの作品だ。
物語は4冊。なかなかの長編だ。これもまたいい。
ただし、登場人物の名前がやたら複雑で、こんな人いたっけ?って思うことも正直多かった。いろいろな立場の人が出てきて、混乱することもあった。そんな細かいことは気にせず、読み進んでいっても問題ない。それで十分楽しめる。
あなたも小野女史が描く、熱い世界を垣間見てはいかがだろう?
このシリーズは12国記というだけあってまだまだ続くと思われる。
全部の国を描くと想像すると、かなりの長丁場。
楽しみはまだまだ続く。
初期頃はアニメ化された。
この白銀の墟 玄の月はアニメ化されないのかな?
良い作品になると私は思う。
あ、でも、アニメ化すると号泣してしまうな。多分。
これも期待を込めて 待っていようと思う。
12国記が気になる方はこちらから
読んだ本から、人生の気づきを得ることについて、他にも書いている。
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