50代、親の入浴介助で気づいたこと|叱った1分後に泣いた話
高齢の両親と娘、よくある感情の場面がある。
近いから起こる感情の揺れだ。
あなたも感じたことがあるのではないだろうか?
今回はふとした時に感じた、私の気持ちの揺れについて書いてみたい。
温泉に母を連れて行った
梅雨のはざま、雨が止んだ日。
妹と妹の旦那、そして私、母で日帰り温泉に行くことになった。
久しぶりのサウナ、私はわくわくした。
母も外出大好きな人、朝からご機嫌だった。
片道2時間のドライブ。道の駅で買い物、昼食、上々の滑り出し。
補聴器をつけたまま入ろうとする母を叱った
温泉は入浴する人も少なく「ラッキー」。
私は先に入って自分の体を洗った。
そこへ杖をつきながら妹と母が入ってきた。
私の横の洗面台に座り、体を洗い始める母。
私は髪を洗ってあげようと、シャワーで母の髪を濡らした。
母が「やめて、今日は髪をあらわん。補聴器もつけたままだし」
「!!?」
私は一瞬で怒りがこみあがってくるのを感じた。
髪を洗う洗わないの問題じゃない。
風呂に補聴器してはいったら壊れるだろうが!
私は公共の場であったが、母を叱りつけた。大声で。
その時ちょうど入ってきた人が私のほうをじっと見ていた。
この人「怖い」とでも思ってるみたいに見えた。
他人がどう思おうが知ったことか!私はそれどころではなかった。
妹が私の剣幕を見て、駆け付け、母の補聴器を取ってロッカーに置きに行った。
母は何も言わず座っていた。
ほんの1、2分後、足を洗っていた
これ以上大声出しても意味がない。
私は自分の髪の毛を洗い流した。
そのあとすぐ、母が自分で頭を洗っているのを見て
「洗いにくそうだな」
私は立ち上がっていた。
そして私が代わりに洗い始めた。
さっきまで怒っていた私がもう消えていた。
母、髪の量が減ったな。
シャンプーの洗い流しがすぐ終わる。少ない髪。
背中を洗ってあげる。
「気持ちええ・・」と母。
だよね。背中を洗ってもらうのは快感だ。
そして足の裏。
石鹸をつけて足の指の間を洗い足の裏を洗った。
まず左足。
そして右足。
……右足が明らかに大きく浮腫んでいた。手術した足だった。
・・・
お母さん、こんなになるまで働いてくれたんだ。ありがとう。
足さん、痛かったね。
そう思うと今度は急に泣けてきた。
涙が私の濡れた肌の上を、一筋流れていた。
温泉の湯なのか涙なのか自分でもわからなかった。
手術した右足だけがむくんでいた
母の右足は手術後は、本当にパンパンに腫れていた。
退院後も腫れが引かず、内科に相談した。
だから浮腫みがあることは知っていた。
しかし久しぶりに触ってみるとまだ腫れてることがよくわかった。
左足を洗った後、右足を洗うとその浮腫みが如実に感じられた。
……何かが込み上げてきた。
泣けてきた。でも見せない
涙が流れた。
これは怒りの涙ではなかった。
80年生きてきた母、その母を支え続ける足。
膝を壊し、体がゆがんでしまった母。働きすぎたからだ。
ここまでして育ててくれた。
お母さんの足さん、ありがとう。
そしてこんなになるまでしなくてもよかったのに。
感謝だけじゃなく母の足をどうすることもできない自分への小さい怒りを感じた。
もっとよくなれ、母の足。
痛みよ無くなれ、母の足。
洗いながら母の足に感謝しつつお願いする私がいた。
私は母が自分の思うようにしていないとき、
今回のように大事なことができていないとき、とても腹が立つ。
それは補聴器が壊れると困るのは母。
それがわかっているからだ。
母の体を洗いながら、涙する私。
それは母にもっとよくなってほしい。
困ることなく長生きしてほしい、そう思っているから。
母を叱るとき私の奥では、軽い絶望で震えている私がいる。
加齢とともに変化した母の体。
痛々しい。
涙には感謝の味とちょっとした寂しさが混じっていた。
私には母を叱りつける私と涙する私が同居している。
行動と態度は違うが、根っこは同じ。
母を大事に思っている。そして母のために行動し考えている私。
怒りの後母の体を洗うことで見えてきたのは自分自身だった。
もし今日、誰かを叱った直後だったら、その人の体に少しだけ触れてみてほしい。
叱った理由の奥のあなたの愛情を感じるかもしれない。
私は母に対して怒りをぶつけることが、昨年から増えた。
母の変化にともなって増えた。
その奥には母をどうしてあげることもできない無力感と、
それでもよくなってほしい願望がある。
とくに願望が強い。
私が怒ってもその願望がかなうわけじゃない。
だから何もできない自分に失望する。
それでも私は同じことを繰り返すんだろうな。
無駄とわかっていても大事な人だから、続けるんだろうな。
私はきっとこれからも怒れば叱る。そして涙する。
私は空を見上げた。
梅雨空、雲の間に青空が広がっていた。
母との同居について、こちらにも書いた。
→ 同居の母が気難しくなってきた|介護未満の”手前”が一番しんどい
健康のことも、心のことも、根っこにある不安は同じだと思う。
私がこのブログで伝えたいことは
[お金の話ばかりじゃない理由|50代おひとり様がこのブログで伝えたいこと]
にまとめている。
→ お金の話ばかりじゃない理由|50代おひとり様がこのブログで伝えたいこと

